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自閉症遺伝子 [本 livre]

この本はフランスにおける自閉症遺伝子検査ビジネスとその検査会社と遺伝学者との”闘争”記である。近年,日本においても遺伝子検査・診断ビジネスが”横行”しつつあり,国や学会も問題として対策を取る方向だ。また,インターネットでも様々な遺伝子に関する叙述が流布している。この本は,フランスにおける,という前提がつく。また,フランスらしく自閉症に精神分析(ジャック・ラカンほか)の影響もあるという。日本とは少し違う医療制度と現状ではあるが,日本でも遺伝子検査,遺伝子診断が,ビジネスとして大きくなっていることを考慮すると,この本に書かれた”闘争”記は自閉症と自閉症スペクトラム障害を切り口として興味深い本である。
自閉症遺伝子 - 見つからない遺伝子をめぐって

自閉症遺伝子 - 見つからない遺伝子をめぐって

  • 作者: ベルトラン・ジョルダン
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2013/10/09
  • メディア: 単行本

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Les Miserables レ・ミゼラブル [映画 le cinema]

レ・ミゼラブル 通称,レミゼ。帝劇で上演されるあれである。しかし,今回は,映画。ついに映画になってしまったか。ミュージカル映画,ここ最近,ヨーロッパ制作モノは非常によいでき,だと思う。逆に,アメリカの制作会社制作のものは,どうも・・・。今回のレミゼ。レミゼの誕生の地のイギリス制作。
舞台のレミゼを知っているとあれも,これも,の音楽とフレーズがでてきて楽しい。帝劇レミゼは帝劇レミゼでその雰囲気はある。けれど,映画のレミゼもしっかり作っている。手抜きしていない。はじめて見るとかミュージカルのレミゼでいまいちよくわからなくて何回も通ったという場合も,この映画を見れば足りる。それだけしっかりと脚本がたてられ,ミュージカルがされ,それでいて,ミュージカル以上にレミゼである。それは,映画であるという特権とも言える。バリケードが小さい気もしないでもない。確かに,帝劇レミゼを見てしまっているとある程度大がかりなものを想像してしまうけれど,本来,あのくらいなんだろう。それにしても,慈愛によって再生したジャンバルジャンの物語は,コゼットら次の世代に受け継がれていく様子は,舞台以上に表現されている。他にものっけから牢獄時代の船もそうだし,パリの街並み,などなどやはり舞台では表現できない,しきれないところは映画の力。これだけでも観る価値あり。それに答えるだけの俳優陣の歌も負けてはいなかった。確か,オーディションも歌重視だったそうな。ヒュージャックマンのジャン・バルジャン,ラッセル・クロウのジャベールもいいし,ファンテーヌのアン・ハサウェイも薄幸の女性を痛いほど演じていた。最後のジャン・バルジャンが召されていく時に登場する様も効果的。コゼットさることながら,一番はエポニーヌだったかもしれない。一番惹かれました。愛と勇気の物語,レ・ミゼラブル。最後にぽろっと来てしまう,この作品の魔力です。
 
 
レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

  • 作者: ヴィクトル・ユゴー
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/12/18
  • メディア: 文庫
レ・ミゼラブル (下) (角川文庫)

レ・ミゼラブル (下) (角川文庫)

  • 作者: ヴィクトル・ユゴー
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/12/18
  • メディア: 文庫
「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)

「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)

  • 作者: 鹿島 茂
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 文庫
レ・ミゼラブル~サウンドトラック

レ・ミゼラブル~サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2012/12/26
  • メディア: CD
 

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エヴァは成長する 新劇場版エヴァンゲリヲン:Q [映画 le cinema]

 新世紀エヴァンゲリオンがはじめてテレビに登場したのが,1995年,その続編たる劇場版が1997年-1998年。その後,劇場版の新作としてエヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年),破(2009年),そして,今回のQ(2012年)である。新世紀エヴァンゲリオンをリアルタイムで観ていた人たちもいい大人である。だって,テレビ版から17年経過しているのだから。
 そんな中,今回のエヴァは,これまでの「時間の止まったエヴァの世界」から抜け出してくれた。いつまで経っても,2015年のまま。現実社会をみれば,もうすぐそこ。進化しない方がおかしい。2015年の初号機によるサードインパクトから14年経っている今回。国連組織ネルフはもうなく,碇ゲンドウの願いを叶えるための組織(表面的にはゼーレではあるが)と化し,ミサト,リツコをはじめとしたネルフに属していた人たちは,ネルフを倒すことを目的としたヴィレに属している。2015年から14年経過しているのだから,彼女らも40代である。
 そんな中,全く変わらないのが,碇シンジ。14年間眠っていたのだから。仕組まれた子どもたちも,体型が変わらない=永遠の14歳。
 この映画の冒頭に出てくる音楽と空浮く戦艦などなどは,「不思議の海のナディア」からインスパイアせれている。ネモ艦長の声(=大塚明夫さん)も出てくるし。後半は渚カヲルが出てくるが,初号機がトリガーとなったサードインパクトの様,これは,この映画と同時に上映される,「巨神兵,東京にあらわる」そのもの。だから,決して夏に開催されていた展覧会を見れなかった人たちのための同時上映ではないのだ。
我々,少なくともエヴァを観る人たちは,2015年の碇シンジら永遠の14歳と永遠のミサトらネルフ職員の姿に幻想を見ていた。アニメだから時間空間は別にどうでもよいだが,実際,エヴァが開いたアニメ市場のエヴァは,これまで“永遠の2015年の出来事”であった。そして,序・破まではそれでよかった。導入だから,今回の2015年から14年経過したQから最後の“I”は,もっと庵野監督のこれまでの仕事の凝縮体になるかもしれない。
 エヴァンゲリヲンという物語は今回のQで14年の月日が経過した。しかし,パイロットたちは成長しなかった。それは,彼ら=エヴァファンへの警鐘でもあろう。エヴァファンは永遠の14歳(あるいはそれ以外のキャラクター)の幻想を追い求めている。それは確実に時が止まっている。実生活実社会は,1秒1分1時間1日時は経るもの。君たちも14歳以上年取ったでしょ。だから成長せよ,前を見よ,現実を生きよ,との庵野秀明からの警鐘と捉え,次回の終幕に期待したいのです。
桜流し [DVD]

桜流し [DVD]

  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN
  • メディア: DVD
Shiro SAGISU Music from“EVANGELION 3.0”YOU CAN(NOT)REDO.

Shiro SAGISU Music from“EVANGELION 3.0”YOU CAN(NOT)REDO.

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2012/11/28
  • メディア: CD
 

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最強のふたり Le intouchables [映画 le cinema]

最強のふたり。フランス本国でも大盛況だった映画。やっと観ることができました。さて,この原題Les intochebles つまり,アンタッチャブルである。相容れない,そもそもかけ離れていて触れることができない,そんな意味かな。
この映画は,もともと現実の話があって,その二人は現実にいる,それをもとにした映画。とにかく,フランス映画である。全国規模でフランス映画を観ることができるというのはなかなかない。
グライダーの事故で脊髄損傷を受け,半身不随となった富豪フィリップと,刑務所出でパリの下層民,ドリス。この相容れない二人が次第に合いつながっていく様を描いている。淡々とした展開でなく,フランスのエスプリたっぷりのコメディである。ここがいい。Earth wind & fire のSeptemberと芸術の価値が鍵かもしれない。フィリップは,ヴィヴァルディの四季・夏がロックだと感じ,それに呼応するように,ドリスはEarth を持ち出し,皆でフィリップの誕生日を踊って祝う。フィリップは,前衛絵画を4万euroで買い,一方,ドリスは自分のインスピレーションで描いた”前衛絵画”を,フィリップは彼の友人に1万euroで売る。芸術への価値観というもの,芸術の意味,価値観の違いというのは,誰が決めるのか?言い値で決まる?なんて問うているのは,さすがエスプリたっぷりのフランス映画。
この価値観の違いこそが彼らの結びつきを強くしていく。最後には(最初の場面でもあるけれど),アストンマーティンでパリの街をぶっ飛ばす光景と最後の最後のドリスの粋な演出は,端から見れば相容れない二人が本当の友人なったんだと感じさせる。
健常者と障がい者の二人の映画がわかり合える映画と観るよりも,フランス(パリ)には地位階層があるけれど,そんなのは関係ない,それぞれの立場の違いはあれど,精神的に,実際に面と向かったらどうかという人と人とのコミュニケーションの物語,人の価値観とは何かと観るほうが正解かもしれない。確かに,健常者と障がい者,あるいは,富豪と貧困層,価値観の違いという映画としては描きやすい二項対立の主題はあるのだけれど。
 コメディで全く飽きさせないのはさすが。コメディコメディすぎない。二人の現実も随所に(いや,これが本題なのだろうけれど)直視する。コメディでありつつも,主題としては単純でありながらも,感動作になっているのはフランスらしい。

補足,パリを舞台にしているだけあって,随所にパリの風景も観ることができる(ルーブルとかポンデボザールとか,エッフェルとか)なんてのもこの映画の特徴でもある。
またパリに行きたくなりました。
Intouchables

Intouchables

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Ais
  • 発売日: 2012/03/20
  • メディア: CD


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おおかみこどもの雨と雪 [映画 le cinema]

とても優しい物語。反面、(おおかみ)こどもを産み、育て、生きていくことの大変さ、楽しさを教えてくれる作品。
大学生の花は、奨学金をもらい、クリーニング店でアルバイトしながら大学生学を送っている、至って普通の大学生。あるとき、長身のイケメンが同じ講義を聴いていた。実は同じ大学の大学生ではなく、配達員の隠れ聴講生。その男に惹かれていく花。デートを重ね、その彼の真実を見ることになる。・・・・
 
この作品を通して、花はとても強い。ただ強いのではなく、楽しもうとしている。2人のおおかみこどもを、動物のオオカミと人間のこど両方を育てなければならない。富山の山奥の民家を一人で借り、彼らを自力で育てていこうとする。傍らで頑固なおやじが見守る。自然にあこがれて、ほとんどが途中で逃げ出していく中、花は、2人のおおかみこどもを育てる。一生懸命なのだろうけれど、楽しんでるようにも思える。畑の作り方一つ知らない花は、近所の人の手、知恵を借りながら、自給自足する。自給自足というのは言葉ではとても光る言葉であるけれど、実際は大変。近所の人たちとの交流がなければできない。すべて自給自足とはさすがにいかないから。韮崎のおじさんはとても頑固で、無口であるが、花の一生懸命さに力を貸し、花の笑顔と笑いに「何がそんなにおかしい。笑うな」と言う。確かに厳しい。畑一つ育てるのは。でも、花は、笑顔を絶やさない。ここが、花の強さである。

のびのびと成長する2人のおおかみこども。
人間の生活に順応していく 雪。反面、人間の生活にはなじめず、森の先生のところに毎日通う、雨。彼は子どもの頃、どうしたのだろうと思いながらも、2人のそれぞれの成長を楽しむ花の忍耐力の強さ。

この作品に流れる音楽はとても繊細である。アン・サリーのアンニュイな歌も効果的。雪原を翔る映像と音楽もうまくマッチしている。この作品は、花の子育て奮闘記であるとともに、人とのつながりを問う物語である。人は一人では生きていけない。花は彼との出会いがあったからこそ、雪と雨が生まれたのであり、彼らがおおかみこどもであったからこそ(かどうかはわからないが)、彼らの成長に最適な場所を探し、山奥を選ぶ。その中で生活するのは大変であるけれど、近所(といっても遠いが)の人たちとの交わりがあってこそ、野菜を栽培し、米をもらい、生活することができた。

細田作品は、元気な女子と静かな男子が登場する。今作も、元気な女子 花、雪。静かな 彼 と雨が対照的に登場する。男子が静か=気弱ではない。彼はおおかみおとことして苦労して生きてきたし、雨も、森の先生と出会い、強くなり、ついに森の中で生きることを決意する。反面、雪は、最初は闊達な女の子であったけれど、小学校生活の中で、女の子らしさが生まれていく。その対照的な様にもそれぞれの生きる道に笑顔でエールを送る花はやっぱり、強い。
 
 
おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

  • 作者: 細田 守
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
おおかみこどもの雨と雪 ARTBOOK

おおかみこどもの雨と雪 ARTBOOK

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 単行本
SWITCH Vol.30 No.8 特集:細田守『おおかみこどもの雨と雪』はこの世界を祝福する

SWITCH Vol.30 No.8 特集:細田守『おおかみこどもの雨と雪』はこの世界を祝福する

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 大型本
アニメスタイル001(特別付録『おおかみこどもの雨と雪』設定資料集) (メディアパルムック)

アニメスタイル001(特別付録『おおかみこどもの雨と雪』設定資料集) (メディアパルムック)

  • 作者: 小黒祐一郎
  • 出版社/メーカー: メディア・パル
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: ムック
劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック

劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2012/07/18
  • メディア: CD
 

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