サイトウキネン 火刑台のジャンヌ・ダルク 初日 [音楽 musique]
8月19日 火刑台のジャンヌ・ダルク 初日。
こういった芝居やオペラなどは、初日から楽日を迎えるまで、毎日違うのが常。むしろ、毎日進化していくといったほうがよいかもしれないが、初日は初日の出演者と観客双方にある種の緊張感があるのは否めない。
今回は、指揮者山田和樹 である。ここ最近は、小澤征爾指揮以外の演目ばかりみていたから、サイトウキネン=オザワという免疫はなくなってきている。
「火刑台のジャンヌ・ダルク」は、有名な百年戦争を終結させた聖人である、ジャンヌ・ダルクが、火あぶりの刑に処せられる、その時のジャンヌ自身の回想を描いた劇的オラトリオ。
今回の指揮は、山田和樹。ジャンヌ自体は、19年ぶりの演目。だから、19年前の演奏を聴いた辛口な人たちの評価はいかがだったのでしょう。
客席には、小澤征爾一家もかけつけ、静寂の中始まりました。
この作品、そして、今回は、実にフランス語に忠実というか、フランス語の詞を大事にし、
フランス人が出演しています。ジャンヌ役のイザベル・カラヤン自身はドイツ人だろうが、彼女自身はフランスで訓練を受けている。語り役は、んっ。これは、コメディーフランセーズの人かな、と思ったら、案の定、コメディーフランセーズの役者でした。さすがです。コメディーフランセーズ。日本ではなかなか玄人好みですが、パリに行けば劇場でやっていますので、興味のある方は是非本場のフランス流の芝居を堪能できます(場所は、ルーブルの隣です)。フランス語かじりの私としては、フランス語の台詞、歌、そして、芝居が心地よく興味深かったです。フランスのウィットに富んだ芝居といったらいいのかな、芝居好きのほうが今回は楽しめるかもしれません。
そして、芝居自体も子どもらの衣装もさることながら、いろいろな虫たちも出てきますし、その子の歌もうまい。独唱部分もしっかり、です。これから楽日までが楽しみですね。
演奏も賛否いろいろあるかもしれませんが、フランス的な、いわば、やわらかく、優雅に、そして、機敏に。それぞれが十分に発揮できていたと思います。ドイツクラシック的な演奏ではなく、むしろ、パリ管的なといったほうがよいかもしれません。言い過ぎ?若さ=冒険というより少し守りに入ってしまったかな、とも言えます。その点は残念。でも、全体的には満足。
でも、プログラム(\2,000)みると、演奏者はずいぶん変わりました。初期メンバーはほとんどいません。以前から次第次第に若手になってきていて、受け継がれて行っているという様子は受け取れていたのですが、小澤さん頼みから次の段階へ。一人の頼る時代は終わりです。オケ、フェスティバル自身が魅力あるもの出なければなりません。
サイトウキネンは、十分に魅力あるオケに育ってきていると思います。
オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(全曲) 交響的詩篇「ダビデ王」(全曲)
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