サイトウキネン 火刑台のジャンヌ・ダルク 初日 [音楽 musique]
オネゲル:劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(全曲) 交響的詩篇「ダビデ王」(全曲)
- アーティスト: ボード(セルジュ)
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2008/12/17
- メディア: CD
孤独な帝国 日本の1920年代―ポール・クローデル外交書簡1921‐27
- 作者: ポール クローデル
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1999/07
- メディア: 単行本
サイトウキネン サロメ [音楽 musique]
今年のサイトウキネンは、チケットが余っている、とのこと。確かに、チケットサイトを覗くと、まだある。
サイトウキネン=OZAWAだからなんだろうか。プログラムを見ると、なかなか聞けない曲が結構あるし、今年の恒例の武満プログラムは、ノヴァンバーステップスがあるし、ヒンデミットも演奏される。なかなか普通の演奏会だと聴けないんじゃないかな、と思うんですが。。。あとは、NHKでもハイビジョンでやるからっていう安心感もあるのでしょうか(
ちなみに今年はやらない、そうでしょう、やっぱり、だって、何万というチケットを買って観に来る人に失礼です、と思います)。
ま、それはそれとして、臨場感と眼前のヴィヴィッドなまでに伝わってくるパッションは、その場にいないと味わえない。
今年のプログラムで小澤プログラムもそれはそれでいいのですが、やっぱり「サロメ」かな、と思い、これなら行けると思った、28日のプログラムにすることに。
このサロメ、サロメを演じるソリストに昔からスポットライトが当てられてきました。今回はまあ、さらっとした形でしたが、それでも人間の狂気をまじまじと感じられました。舞台自体もコンパクトでシンプルな中にしっかりと演出効果が表れる舞台。最近のオペラの舞台演出は、シンプルなものが多いと思いますが、それでだけ、ソリストたちの芝居が重要になってきます。それを考えると、サイトウキネンの最近の歌劇やオペラの舞台演出もしかりです。費用とかいろいろな問題もあるんでしょうが、結果的に、いかに魅せ、楽しませるか、という本来の演出をするようになったと思うんです。大道具や奇抜な演出に頼らない、演出の本質に。
そして、注目の指揮者 オメール・メイア・ヴェルバー。これがなければ、来日も先になっていたのでは?伸びやかな指揮をしつつも、サロメ全体を貫く緊迫感と恐怖を持たせた演奏を指揮していたと思います
今回のサロメは、前々回のエリアから続くもの。エリアもシンプルな、しかし、強烈なまでに印象づけられる演出によるエリアでした。宗教を題材にした芝居は、日本人には殊に不慣れです。しかし、サイトウキネンは、それを敢えてやろうとする。カルメル会修道女もそうでした。日本人のオペラ、歌劇に対する期待は、一般的にはこれらと違います。もっと一般的な、誰でも知っているもの、気軽に見れるもの、です。しかし、敢えてそれを避け(といいつつも、最近、特に今回は、多くの人が知っているものでしたが)、日本初といってもいいオペラ、歌劇を挑戦しているサイトウキネン、次も挑戦して欲しいと思います。(それが客離れという結果になっていることも事実ではありますが、敢えて)
サイトウキネンフェスティバル オラトリオ「エリア」編 [音楽 musique]
ソプラノ:サリー・マシューズ
アルト:ナタリー・シュトゥッツマン
テノール:アンソニー・ディーン・グリフィー
バリトン:ジョゼ・ヴァン・ダム
合唱:東京オペラシンガーズ
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾
演出:ジャン・カルマン
オラトリオ,宗教的音楽劇。旧約聖書に登場するエリアの活躍を中心に進められていく音楽劇。はじめは,あまり期待していませんでした。オラトリオというと,はじめに思いつくのが,ヘンデル「メサイア」。メサイアは,宗教色は強いもののそんなに嫌いなものではないのですが,やはり,長いというのがネック。エリアという作品は,聴いたことがなかったので,さらに不安でした。けれど,フィレンツェ歌劇場が舞台を手がけて,少し違う雰囲気になるようだということだったので,それは期待。
会場のまつもと市民芸術館に到着したときには,すでにたくさん人がいて,ワインサービスなんかもいただいてしまいました。(前,行ったときは,ウィスキーのサービスあったなぁ,そういえば)
とにかく中に入って,席から舞台を見ると,オーケストラピットと幕に隠された舞台。どうなんだろう・・・・・
そして,始まったわけですが,
それまでの不安は一気に払拭されました。舞台はシンプルですが,その土地をよく表しているように作られ,光の加減(照明)によってうまくそれぞれの言葉(歌)に合うような演出でした。一昔のオペラのように,大がかりな舞台装置にはない,ポストモダン的色彩の強い舞台。
そして,独唱者と合唱,オケ,と非常にうまく合っていました。メンデルスゾーンという作曲家の技量なのでしょうか。いや,それよりも,演出の技術かもしれません。オラトリオという宗教色のある形式をとりながらも,動きが多かったことです。つまり,オペラに近かった。オペラ感覚で聴き,観ることができたことが,このサイトウキネンオーケストラによるメンデルスゾーン「エリア」なのかもしれません。こと,日本でこのような作品を扱うのは,稀です。日本でなくても稀かもしれませんが・・・・それをやってのける,やろうとする,やってしまう, のが,サイトウキネン。皆が望む,皆が知っている作品をやるというのも一つですが,皆がそんなに聴いたことがない作品をやる,挑戦する,そして,聴くというのも,一つです。そして,新たな発見をする。それは,演奏者であったり,聴く人=聴衆であったりするわけですが・・・・
サイトウキネンオーケストラ,サイトウキネンフェスティバルというのは,そういう位置づけだと思います。
このエリアで最も印象的だったのが,最後になるにつれて浮かび上がる太陽,そして,アーメン。これぞ,演出だと思いました。
CD出たら,買おう!!!
- アーティスト: サヴァリッシュ(ヴォルフガング), NHK交響楽団, メンデルスゾーン, ポップ(ルチア), 曽我栄子, 五十嵐郁子, ナフェ(アリシア), 荒道子, ザイフェルト(ペーター), 小林一男, 福島明也
- 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2001/09/19
- メディア: CD
- アーティスト: ブロムシュテット(ヘルベルト), ゲルハーヘル(クリスティアン), シュトゥッツマン(ナタリー), ルーベンス(シビッラ), テイラー(ジェームズ), クラス(マクシミリアン), ライプツィヒ・ゲヴァントハウス合唱団, ライプツィヒ・ゲヴァントハウス室内合唱団, ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団, メンデルスゾーン
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/04/26
- メディア: CD
サイトウキネンフェスティバル 宮本文昭編 [音楽 musique]
8月20日
長野県松本市のザ・ハーモニーホールにて
今年度いっぱいで,オーボエ奏者としての生活にピリオドを打つ宮本文昭のサイトウキネンでのオーボエ演奏最後のコンサート。
曲目は,諸事情により,3曲から2曲に変更。
モーツァルト作曲
「オーボエ協奏曲ハ長調K314」
ベートーヴェン作曲
「交響曲第7番イ長調作品92」
(指揮:宮本文昭)
とにかく暑い日でした。松本の今夏最高気温な日。東京のほうがまだましな日。そんな中,15時から演奏会が開かれ,当然のことながら,小澤征爾も来ていました。ちょうど,座った席が,入り口の入り口だったので,2mという近さで生小澤を見てしまった・・・・。病気で2005-2006シーズンは休養していたものの,そんなことは感じさせない,いつものエネルギッシュな小澤さんでした。
演奏は・・・・
まず,モーツァルトのオーボエ協奏曲ですが,宮本文昭の魅力,というか,これまでいろいろなジャンルのアーティストと競演してきた宮本らしさ,ある意味それはステレオタイプのクラシックの演奏家らしからぬとも言えるわけですが,が伝わってくる伸びやかで,生き生きとしていて,うきうきする演奏,こちらも楽しめました。小編成だけに,それだけそれぞれの演奏家の技量が問われるわけですが,それは,それぞれの演奏家が大家であるだけあって?,うまくまとまっていたという感じでした。
それは,次のベートーヴェンの交響曲第7番にも言えることで,こちらは宮本文昭の指揮も楽しめたのですが,小編成オケの魅力というのも味わえました。宮本さんの指揮,これが一番気になるところですが,うん,これは,小澤系かな,つまり,感情豊かに指揮をする指揮,それぞれ楽器奏者の持ち味を持ちだそうとする指揮でした。来年からどんな活動をするのか,宮本の指揮,というのも楽しみになってきました。けれど,やっぱりオーボエ奏者としての宮本も捨てがたい。続けて欲しいなぁ,オーボエ奏者としての宮本文昭。
2曲になったんだから,オーボエソロも聴きたかった・・・・