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おおかみこどもの雨と雪 [映画 le cinema]

とても優しい物語。反面、(おおかみ)こどもを産み、育て、生きていくことの大変さ、楽しさを教えてくれる作品。
大学生の花は、奨学金をもらい、クリーニング店でアルバイトしながら大学生学を送っている、至って普通の大学生。あるとき、長身のイケメンが同じ講義を聴いていた。実は同じ大学の大学生ではなく、配達員の隠れ聴講生。その男に惹かれていく花。デートを重ね、その彼の真実を見ることになる。・・・・
 
この作品を通して、花はとても強い。ただ強いのではなく、楽しもうとしている。2人のおおかみこどもを、動物のオオカミと人間のこど両方を育てなければならない。富山の山奥の民家を一人で借り、彼らを自力で育てていこうとする。傍らで頑固なおやじが見守る。自然にあこがれて、ほとんどが途中で逃げ出していく中、花は、2人のおおかみこどもを育てる。一生懸命なのだろうけれど、楽しんでるようにも思える。畑の作り方一つ知らない花は、近所の人の手、知恵を借りながら、自給自足する。自給自足というのは言葉ではとても光る言葉であるけれど、実際は大変。近所の人たちとの交流がなければできない。すべて自給自足とはさすがにいかないから。韮崎のおじさんはとても頑固で、無口であるが、花の一生懸命さに力を貸し、花の笑顔と笑いに「何がそんなにおかしい。笑うな」と言う。確かに厳しい。畑一つ育てるのは。でも、花は、笑顔を絶やさない。ここが、花の強さである。

のびのびと成長する2人のおおかみこども。
人間の生活に順応していく 雪。反面、人間の生活にはなじめず、森の先生のところに毎日通う、雨。彼は子どもの頃、どうしたのだろうと思いながらも、2人のそれぞれの成長を楽しむ花の忍耐力の強さ。

この作品に流れる音楽はとても繊細である。アン・サリーのアンニュイな歌も効果的。雪原を翔る映像と音楽もうまくマッチしている。この作品は、花の子育て奮闘記であるとともに、人とのつながりを問う物語である。人は一人では生きていけない。花は彼との出会いがあったからこそ、雪と雨が生まれたのであり、彼らがおおかみこどもであったからこそ(かどうかはわからないが)、彼らの成長に最適な場所を探し、山奥を選ぶ。その中で生活するのは大変であるけれど、近所(といっても遠いが)の人たちとの交わりがあってこそ、野菜を栽培し、米をもらい、生活することができた。

細田作品は、元気な女子と静かな男子が登場する。今作も、元気な女子 花、雪。静かな 彼 と雨が対照的に登場する。男子が静か=気弱ではない。彼はおおかみおとことして苦労して生きてきたし、雨も、森の先生と出会い、強くなり、ついに森の中で生きることを決意する。反面、雪は、最初は闊達な女の子であったけれど、小学校生活の中で、女の子らしさが生まれていく。その対照的な様にもそれぞれの生きる道に笑顔でエールを送る花はやっぱり、強い。
 
 
おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)

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  • 作者: 細田 守
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 文庫
おおかみこどもの雨と雪 ARTBOOK

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 単行本
SWITCH Vol.30 No.8 特集:細田守『おおかみこどもの雨と雪』はこの世界を祝福する

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  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
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  • メディア: 大型本
アニメスタイル001(特別付録『おおかみこどもの雨と雪』設定資料集) (メディアパルムック)

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  • 発売日: 2012/07/20
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劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2012/07/18
  • メディア: CD
 

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